今、夢中になったマンガ37作品

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マンガ&ドラマウォッチャーが、「今、夢中になったマンガ」を各作品の魅力とともにアップする本記事。

みなさまのおすすめマンガも、ぜひ教えてください!

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ボクの初体験(全3巻)

どこかで高橋留美子先生が『らんま1/2』の男女入れ替わりは弓月光先生の漫画から着想を得たと言っていて、これだろうかと読み始めた作品。イケメンなのにすぐフラれる宮田英太郎が投信自殺をはかった挙句、脳ミソを女性の身体に移植されてしまう展開。いや、これちょっとエッチなラブコメだけにあらず、英太郎が出産まで経験するのがすごいところなんだ……。この時代のドタバタ感、好きです。

南くんの恋人

小さくなったちよみとその恋人南くんの物語。ドラマから入ったので、テイストの違いにかなり衝撃を受けた。小さくなった理由を描かないことでより引き立つファンタジーさ、でもトイレはどうする、セックスできない、生理がくる、この先子どもを持てる日がくるのだろうかなど、二人に降りかかるえがらい問題。この塩梅、すごい。

南くんは恋人

南くんの恋人』の男女逆転バージョンがこちら。女の子が小さくなったときは割と楽観的だったに、男の子になると卑屈さやプライド、嫉妬、虚栄心がドバドバと……。そんな男女による明確な違いが面白かったし、内田先生のあとがきがまたいいんだ、これが。「南くんの」もだけど、1巻完結なことがいまだに信じられない!

ふうらい姉妹(全4巻)

Xの切り抜きを見て気になった、どえらい姉妹の4コマギャグ漫画。説得力のあるご尊顔でアレコレ仰せられるから、奇天烈な発言でも納得してしまいそうな自分がいる。阿保の姉にしっかり者の妹…ではなく天然の妹なので過度なツッコミもされず、否定もされず。でも、そのゆるさがいい。

ジャガーン (全14巻)

広告かなにかでみた「祝福!花嫁壊人メデタウロス」の珍妙さにつられ、絶対面白いじゃん、と読み始めた本作。得体の知れない怪物に襲われ、可愛いフクロウと出会い、なぜか怪物を倒す役割を担うことになる男の話。まるでプリキュアとかセーラームーンとかの魔法少女みたいな始まりだけれど、とってもエグくてグロくて最高なのです…。

ホストと社畜

ホストと社畜、違う時間軸を生きる二人の交流を描く物語。朝毎回すれ違う人とか、会社帰りのスーパーが被る人とか。そんな密かな生存確認に安心できる時がありまして。そういう感覚がこの作品にもあって非常に癒されました。真逆の二人を見てると、人って案外誰とでもやっていけるのかも?と希望が湧いてくる。

霊媒師いずな(全10巻)

地獄先生ぬ〜べ〜』のスピンオフ。イタコの娘・いずなが主人公の物語。人間に取り憑く妖怪を退治していくという絶対的なベースがありつつ、孤独やネットなど現代社会の薄暗さも包含している内容がとても好み。ぬ〜べ〜もちょっぴりエッチだったけれど、なるほどこれは青年漫画だ!

透明なゆりかご(全9巻)

少年少女はもちろん、大人にも読んでほしい作品。性や出産についてって本当に学ぶが機会が乏しくて、年齢を重ねたって経験者でない限り知らないことばかり。この作品を読むことで、抑止になったり、自分自身で思い止まったり、逆に決断できたり。必ず読む人の一助になると思う。

藤子不二雄Aのブラックユーモア(全2巻)

私にとって藤子不二雄A先生といえばブラックユーモアなんです……。ちょっと不気味で、不安で、不思議な物語がギュッと詰められた短編集。 日常にひっそりと身を潜める“毒”の気配を感じながらも、 絶妙なバランスで共存するポップな絵柄が可愛らしくて頬が緩む。おすすめは「ブレーキふまずにアクセルふんじゃった」「水中花」「恐喝有限会社」「田園交響楽」。

イグアナの娘

全6作からなるアンソロジー。やっぱり表題の「イグアナの娘」が印象的。娘がイグアナだったのは、母もまたイグアナだったから。消化しきれなかったわだかまりを静かに残す、もの寂しい終わりがジーンと胸に残っている。

この作品について書いた書評家・三宅香帆さんのコラムが面白いので、ぜひこちらも!書籍にもなっているよ!!↓↓萩尾望都──ゆるしたい娘|三宅香帆|PLANETS

ガンバレ!中村くん!!(全2巻)

偶然アニメ化の広告をみて、うわ、超タイプな絵だ。と手にとったのがこちらのBL漫画。ちょっとだけ話せたり、相手の好きなものを知れたり、ラッキースケベだったり。そんな小粒な幸せを噛み締めるばかりだったのに、たまーに急にラブコメしてくるこの高潔さよ……。恋の進展はまったくないのですが、それがいいッ!!

女の園の星(4巻)

最新刊も光る和山やま先生の懇切丁寧な筆致とワードセンス、完璧な間、絶妙なカメラアングル……!とくにおじさんはなぜトンカツ屋に並ぶ?と古森兄の強い憤りのシーンは何回読んでも笑ってしまうし、小林先生が意外に甥煩悩なのも最高すぎた。はあ、充実した時間だった……。

手塚治虫アシスタントの食卓

手塚治虫先生のアシスタントだった堀田先生が描く、往年の食事情も交えたルポ漫画。火の鳥アニメは失敗作だ!といったり、BJは今回で終わりですと唐突に宣言したり。手塚先生の凄さはもちろん、当時を肌で感じられるのが面白い。漫画だけでもミッチミチなスケジュールだし(BJ、火の鳥など1ヶ月120ページ以上!)床に転がって動かないほどクタクタなのに、それでもアニメに足を踏み入れる手塚先生の情熱に心から敬服。ずっと読んでいられる。

無能の鷹(全8巻)

見た目は有能!中身は無能!な鷹野がゆるっとピシッとオフィスライフを送る脱力系お仕事コメディ。無能でも、成長しなくても、なんら問題ないよね!と、鷹野をみてるとすごく肩の力が抜ける。王道お仕事マンガだと、逆にわたしも頑張ろうって背筋が伸びるんだけどね。そういうところが唯一無二!ドラマも超ワンダフルでした。

溶解教室

ホラー漫画家の鬼才・伊藤潤二先生の作品。謝罪魔・夕馬に謝られると、脳や顔が溶ける。そしてその溶けた脂汁をすする妹のちずみ。端正な筆致で描かれた眉目秀麗な登場人物たちと、カオスなホラーが最高です。面白いな、怖いな、と読み進めていると、突然とんでもないところに連れていかれるのが伊藤先生作品の醍醐味だと思う。

14歳のカレシ

14歳の中学生カレシと20代の社会人カノジョの恋愛を描いた話。現実的にいえば犯罪なのだけれど、作中でもそのことは触れられているし、漫画なので。致死量のピュアが浴びれます。たまーにキスもその先もない、ウブすぎる恋がみたくなるのよ……。

東京怪奇酒

友人知人から聞いた怪談の現場へ実際に足を運び、そこで酒を飲むというトンデモな内容の漫画。清野先生の好奇心に驚かされる。実話の怪奇話(しかもルポ!)って、あたかも自分が体験したかのように、自分ごとのように恐怖を感じられるから病みつきになってしまう。怖いけど。毎話の終わりに書かれている“おこぼれ怪奇情報”もぐっと解像度が上がってかなり興味深いです。

写らナイんです

存在だけで霊を滅してしまう(本人自覚ナシ)霊感なし子・橘みちると超霊媒体質な黒桐まことが織りなすオカルトボーイミーツガールコメディ。幽霊の描写に畏怖しつつも、溢れんばかりの青春のきらめきを感じた稀有な読後感。超絶天然なみちるとそんなみちるにツッコミつつも密かに感謝するまことに笑いを誘われるし、その関係性がめっちゃ尊いです。

11人いる!

宇宙大学試験を受ける10人の受験生たち。だが、なぜか11人いる!というざわつくはじまり。各々の星から受験生が集まっていて、直感力の鋭い星だったり、両性として生まれてくる星だったり…。もう設定からして惹かれる。とくに星の陰謀に巻き込まれる「続」が好きで、SF作品として存在しない星のことを描いているのに、なぜかそう遠くないような…。そんな危機的かつ浮遊感のある読後感が絶妙でした。

#こんなブラック・ジャックはイヤだ

キャラ崩壊、ストーリーもBJの面々が現代にタイムスリップしたかような良い違和感と奇天烈さ。でもたまに本家か!?と思うほど自然なエピソードもあって、中毒性が抜群。手塚治虫先生の絶対的なベースがあるのに、そのなかに独自のスタイルを築き上げていて、かつ面白いっていうのが本当にスゴイ。でもそれは実は、手塚先生のBJと混同しないためのつのがい先生の配慮だったり。こうやって、クリエイターの作品のなかで今なおBJたちが生きていること…。なんて素敵なんだ。

ブラッドハーレーの馬車

ブラッドハーレー家の養女に選ばれた少女たちの数奇な運命を描く物語。憧れと現実、希望と絶望。そんな天国と地獄を同居させるストーリーテリングが巧みすぎて…。この物語において、“光”は猛毒であり呪いである。救いのない世界に震撼せよ。

あたしの!(全4巻)

友情&恋に挟まれ奮闘するティーンたちが眩しい!スパイスとかではなく、全編通して恋のライバルとのあれこれが描かれているのって珍しい気がする。私はついついあここのようなド直球女子を応援してしまうのですが、充希のようなあざとさも、それはそれで本人による努力だよなー、と。盲点でした。タイトルがとってもかわいい!

ライチ⭐︎光クラブ

幼さゆえの愚かさと狂乱、そして機械と少女の間に芽吹いた恋を描いた作品。この2つの軸は対極にあるのに、なぜかどちらも美しさと儚さを覚えてしまうのが妙。でもそう思ってしまうことこそが狂気の始まりなのだ、と。大人になれない少年たちの“歪み”に心が打ち震えた。

ひとりずもう(上・下)

さくらももこ先生の小学校〜デビューまでを描いたエッセイ漫画。同時期に「りぼん」漫画スクールに投稿していた矢沢あい先生の名前を見つけて励まされていたり、思わぬ人の言葉から自分の得意に気づいてやりたいことと掛け合わせて漫画家になれる確信を自分の中で得たり(下巻)。私にも夢があるから、ももこ先生の当時の心情を目の当たりにしてとても身が引き締まる思いになりました。読んでいると、たまちゃんの存在の大きさにも気付かされる。

しあわせは食べて寝て待て(1〜5巻)

持病のため週4勤務のさとこと団地の人たちのふれあいを描いた作品。物語の感触がお粥のように温かくてやさしくて、すんなり心にしみてくる。どのエピソードも食事とかご近所付き合いとか、すぐ近くに存在する幸せを丁寧に掬っているのが心地よかった。作中に出てくる薬膳のお料理は、どれも美味しそうで真似したくなるし、本作みたいな生活が自分を大切にするってことなんだなあ、と。

オフ会したらとんでもないやつが来た話(1〜5巻)

オフ会したら、やってきたのはヤクザだった…⁉︎とにかく「オタク最高〜〜ッ!!」と肩組みたくなる作品。カタギの三木がヤクザのイチゴに姐さんと慕われながら、時に鼓舞し、切磋琢磨する姿にはオタクの品位とたくましさを見せつけられた。 ぬいの撮り方やアンソロジー実行までの流れとかも描かれているので、“指南書”としてもおすすめです。

半神

対談で「小さいコマに二人を描いたら身体がくっついた、それで結合双生児の話を思いついた」と語っておられたのを見て手に取った作品。表題の「半神」は、妹を切り離したことで生き伸びた姉の話。栄養が巡って妹そっくりに美しくなった自分をみて妹への憎しみ、葛藤、愛情をこぼす姿からは、一種のサバイバーズ・ギルトみたいなものを感じた。もうひと作品、「真夏の夜の惑星」も大好きで!「ふられて傷ついたのはプライドで 恋心じゃない」とか、まるで宝塚男役スターが吐くようなグッとツボを刺激するキザな(いい意味で!)セリフに酔いしれてしまいました。

ちくわ戦記

かわいいエネルギー…“カワエネ"を貯めるべく、犬のフリした犬そっくりな異星人・ちくわが地球で生活するお話。動物愛を感じる柔らかい筆致。なのに星人たちの表情が嫌にリアルすぎて、シュールな笑いがそこかしこに生まれていてスクロールする手が止まらない!犬好きにはたまらんマンガです。

今日、駅で見た可愛い女の子。(1〜3巻)

かわいいもの博識おじさんと女子高生(?)による観察型コメディ。プチコロンに夢カワなプロフィール帳、タイルシール、サン宝石……。アラサー世代なら思わず懐かし!と唸ってしまうアイテムたちに心くすぐられまくり、わし掴みされまくり。そんなアイテムたちが男性中年サラリーマン(めちゃくちゃ詳しい)の視点で語られていくのもまた斬新かつ遊び心に溢れていて面白かった。

アテナの卒業式 中学校教師 菜花さきの戦い

新米教師が学校の理不尽さと戦う物語。マンガやドラマ、あるいは身近な恩師に憧れつつも、ブラック企業並の過酷さに教師を志す人は年々減っているという。全国の教職員に取材した保護者や生徒からは見えない現場の声が生々しくストーリーに映し出されていて、かなりの読み応え。生徒と真摯に向き合えばというような魂に訴えかける精神論ではなく、学級をある程度掌握したりモンペを静かにさせたりするのにもちゃんと“戦術”があるのがとても興味深かった。教師の世界じゃそれらは常識なのかはわからないけれど、知らない方にとってはかなり救世主となる一冊だと思う(私は教師じゃないがそれでもかなり勉強になる)。

TimeTuberゆかり

こち亀」秋本先生の最新作!現代版・時をかける少女?でもその目的は、昭和の貴重なプラモデルやフィギュアを仕入れに行くためという…。令和の時代を描きながら、タイムスリップして昭和時代へ。秋本先生の主戦場に自然と移行する流れが流石すぎました。知識量がハンパなくて、とくに戦闘遊びで兵隊は負傷しないからナースフィギュアが人気ないって話が個人的に面白かったなあ、と。父が好きそうなマンガだ。

伊藤潤二の猫日記 よん&むー

ホラータッチをそのままに、愛猫の日常を描くエッセイ作品。猫マンガなのに、この何か霊的なものがはじまりそうな不穏な空気よ…!よん&むーに生命感がみなぎっていて、伊藤先生の家族愛が押し迫るように伝わってくる(一緒に暮らしはじめて犬派から猫派に変わったそうな)。笑いと恐怖の紙一重感も癖になる。

フロウ・ブルーで待ってる

昨年、今年と『ダイヤモンドの功罪』が話題になりましたが、こちらもすごい!何でもできるがゆえに外的要因によって何も続かない天才が野球と出会うという立ち上がりは割と似ているのですが、お互いがお互いのガソリンになるライバルや羨望の眼を向けながらも受け入れてくれるチームメイト、才能を利用しない良識のある大人たちの存在など、本作を包む要素は優しいものばかり。でも、実は天才とはごく狭い世界での話であり、外に羽ばたいた瞬間訪れる挫折や敗北は、容赦なく彼らの心を刺激していく。野球というテーマのなかで描かれる、少年たちの熱く切ない心の機微から片時も目が離せない。

給料日のグルメ(1〜2巻)

真面目なサラリーマンが、給料日にだけちょっぴり贅沢をかますグルメマンガ。個人的に楠本先生といえば『エリカ』のサイコホラーの印象が強くて。めちゃくちゃ真っ当なグルメ作品なのに、何かはじまりそうな気配を勝手に感じていた(もちろんサイコな展開はありません)。春が来る前のアイリッシュコーヒーや夏準備の冷やし中華など、ど真ん中じゃない四季の流れとそこにぴったりな極上グルメがしっかりキャッチされているのが好きポイント。写実的な筆致で食欲がぐんぐん刺激される!

あくたの死に際(1〜3巻)

すごいものを見た…。いい感じの社会人・マコトが大学文芸部の後輩で小説家の季郎と再会し、人生の歯車が回り始める話。小説への純粋な情熱というより、もっと黒々としたものが渦巻く激情に釘付けになる。このくらい人生かけて本気になりたい、私の中の全水分が沸々と煮えたぎる感覚を覚えた。

日本発狂

摩訶不思議さ漂う描く怪奇ロマン。死後の世界は3つに割れて30年戦争を続けている、二度死ぬと生まれ変われる、地震や災害で人がたくさん死ぬのはあの世の戦争で人手が足りないから…。手塚先生の死生観が反映されているであろう本作は、「命の尊さ」「人間への愛」をひしひしと訴える。最後最後でフィクションと現実の境界線を消しゴムで消したの、最高すぎました…。

されどふたご

弟は兄が気に食わない…のではなく、よさが伝わらないのがもどかしいという、見方によって一気に兄弟愛あふれる作品に様変わりするのがすごい!ほかにもともだ友達にどう思われてるかわかるって新たな視点かもー!「弟と違って兄は静か」みたいな周りの比較は「弟が友達には明るく振る舞っている」ことを知れる、と。良質すぎる視点を提供してくれるふたご間のすれ違いコメディ、とても先進的!